アイロン掛けを日常的に行っていると、シワの頑固さに応じて水分を与える方法を変える必要性が出てくる。現代のアイロンにはボタン一つで蒸気が出る便利なスチーム機能が備わっているが、昔ながらの霧吹きを使った手法も決して時代遅れになったわけではない。この二つの方法には、繊維に与える水分量と浸透の仕方に決定的な違いが存在するのだ。
スチーム機能は、高温の細かい蒸気を広範囲に噴射するため、薄手の綿シャツや軽いシワを素早く伸ばすのに適している。熱と水分を同時に与えるため作業スピードが速く、デリケートな生地でもダメージを最小限に抑えることができる。しかし、洗濯ネットの中で強く絡まってできた深いシワや、分厚いオックスフォード生地のシャツの場合、スチームの水分だけでは繊維の奥の水素結合を完全に解きほぐすことができない。
そんな時に活躍するのが霧吹きである。霧吹きで液体の水を直接生地に吹きかけ、しばらく時間を置いて水分を繊維の芯までじっくりと浸透させるのだ。その上から高温のドライアイロンを当てると、生地の内部で水が一気に沸騰して爆発的な蒸気となり、どんなに頑固なシワでも根本から強力に伸ばすことができる。生地の厚さとシワの深さを見極め、水分の与え方を使い分けるのがアイロン掛けの醍醐味である。道具の特性を理解して使いこなすことが、美しい仕上がりへの一番の近道となるのだ。
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