闘争逃走反応によって分泌されるアドレナリンは、決して私たちをパニックに陥らせるための悪者ではありません。むしろ、人間が普段以上のパフォーマンスを発揮するためには必要不可欠な着火剤なのです。適度な緊張感は集中力を研ぎ澄まし、筋力や反射神経を一時的に向上させます。これを火事場の馬鹿力とも呼びます。しかし、アドレナリンが過剰に分泌されすぎると、体が空回りしてしまい、いわゆるあがるという状態になってしまいます。
この過剰な反応を上手くコントロールし、プレッシャーを味方につけるための効果的な方法が、スポーツ選手などがよく取り入れているルーティンと呼ばれる決まった動作です。打席に入る前にバットを特定の角度で構えたり、深呼吸を数回行ったりするいつもの行動をとることで、脳にここは安全な場所であるという安心感のサインを送り、暴走しかけている交感神経を落ち着かせることができます。
特に息をゆっくりと長く吐き出す深呼吸は、リラックスを司る副交感神経の働きを直接的に高める最も科学的で即効性のあるアプローチです。ドキドキしてきたら、それは体が準備を完了した証拠だとポジティブに受け止め、ルーティンと深呼吸で心拍数をコントロールすることが、本番で実力を100パーセント発揮するための最強のテクニックなのです。
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