軽い気体であるヘリウムガスを吸い込むと声が高くなるのであれば、逆に空気よりもずっと重たい気体を吸い込んだら一体どうなるのでしょうか。実は音響学と物理学の法則に従って、声が劇的に低くなるという全く逆の現象が起こります。この実験でよく使われるのが、六フッ化硫黄という特殊な気体です。この気体は、一般的な空気の約5倍もの重さがあり、水槽の中に入れると底にたまってしまうほど密度が高いという特徴を持っています。
六フッ化硫黄を肺の中に吸い込んで声を出すと、重くて密度の高い気体が波の進行を邪魔するため、口の空間を伝わる音速が空気中よりも極端に遅くなります。音の伝わるスピードが遅くなると、喉や口の空間で共鳴するフォルマントの周波数が低い方向へと大きく引き下げられます。その結果、まるで映画に登場する悪役のダースベイダーや、巨大な怪獣が唸っているような、非常に低くて太い不気味な声へと変化してしまうのです。
ヘリウムガスによるドナルドダック効果とは対照的なこの現象は、気体の密度と音速、そして声の高さが見事な反比例の関係にあることを証明する素晴らしい科学実験として知られています。ただし、六フッ化硫黄は空気よりも重いため、一度肺の奥深くまで吸い込んでしまうと、普通の呼吸だけでは外に排出しにくく、肺の底に長く留まってしまうという危険な性質があるため、専門家の指導がない場所で安易に試すことは絶対に避けるべきです。
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