闘争逃走反応が発動している間、私たちの体内では血液の流れ方に極端な偏りが生じます。命を守るための行動に直接関係のない器官への血液供給が後回しにされるのです。その代表格が胃や腸などの消化器官です。目の前に猛獣が迫っている時に、昨日食べたご飯をのんびりと消化吸収している場合ではありません。そのため交感神経が優位になると、胃腸の働きはピタリと止まり、消化に使われるはずだった大量の血液はすべて腕や脚の筋肉へと回されます。
極度の緊張状態に陥ると口の中がカラカラに乾いたり、胃がキリキリと痛くなったり、お腹を下したりするのは、消化器官への血流が極端に減少して働きが一時的にストップしてしまうからです。その一方で、筋肉を爆発的に動かすための燃料となる糖分は急激に必要となります。
アドレナリンは肝臓に蓄えられているグリコーゲンという物質を素早くブドウ糖に分解するように指令を出します。これによって血液中の糖分の濃度、すなわち血糖値が急上昇し、筋肉と脳に即効性の高いエネルギーが大量に補給されるのです。緊張で手が震えたり体に力が入ったりするのは、余るほどのエネルギーが筋肉に充満し、いつでも爆発的に動ける準備が完了しているという頼もしいサインでもあります。
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