12時を回り、待ちに待った昼休みがやってきた。オフィスの冷たい空調から逃れるように外に出ると、初夏の日差しが容赦なく降り注いでくる。同僚たちと連れ立ってランチに行くのも嫌いではないが、午前中の会議で大量の精神力を消費した今日は、どうしても一人で静かに過ごす時間が欲しかった。
向かったのは、会社から歩いて5分ほどの裏路地にある、年季の入った小さな中華料理屋だ。赤い暖簾をくぐると、中華鍋とお玉が激しくぶつかり合うカンカンという金属音と、食欲をそそるニンニクとごま油の強烈な香りが店内に充満している。カウンターの端の席に座り、迷わずいつものチャーハンと餃子のセットを注文した。スマートフォンの画面を見ることもなく、ただ厨房で大将が手際よく鍋を振るうダイナミックな姿をぼんやりと眺める。この完全に思考を停止できる時間が、今の僕には何よりも贅沢なのだ。
運ばれてきたチャーハンは、お米の一粒一粒が油でパラパラにコーティングされており、絶妙な塩加減が疲れた脳と体に直接染み渡っていく。熱々の餃子を酢醤油につけて頬張ると、肉汁の旨味が口いっぱいに広がった。美味しいご飯を無心で食べ進めるうちに、午前中の張り詰めた緊張感が嘘のように溶けていくのを感じる。お冷をひとくち飲み干し、ふっくらと満たされたお腹を抱えて、午後の業務が待つオフィスへとゆっくり足を踏み出した。
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