アコースティックギターの表面板の真ん中には、サウンドホールと呼ばれる丸い大きな穴がぽっかりと空いています。多くの人は、ギターの内部で作られた音がこの穴から外へ向かって抜け出しているとイメージするかもしれません。しかし物理学的な視点で見ると、このサウンドホールは単なる音の出口ではなく、それ自体が音を巨大に増幅するための強力な装置として機能しています。
この仕組みは、空き瓶の飲み口に息を吹きかけるとボーッと低い音が鳴るのと同じ物理法則で、音響学の世界ではヘルムホルツ共鳴と呼ばれています。表面板が振動してギターの共鳴胴の内部にある空気がギュッと圧縮されると、行き場を失った空気の塊がサウンドホールという狭い開口部を通って外へ勢いよく押し出されます。そして次の瞬間には、今度は外の空気が内部へと一気に吸い込まれていきます。
このように、サウンドホール付近の空気がバネのように激しく出たり入ったりを繰り返すことで、特定の低い周波数の音が劇的に増幅されるのです。もしこの丸い穴が塞がれていたり、穴の大きさが計算通りでなかったりすると、空気のバネが上手く機能せず、低音のスカスカな非常に貧弱な音になってしまいます。ギターの豊かな低音と音の広がりは、この目に見えない空気のピストン運動によって力強く生み出されているのです。
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