ゴルフボールが遠くまで飛ぶためには、空気抵抗を減らすことと同じくらい、空中に長く留まるための上向きの力が必要になります。飛行機の翼のように機体を持ち上げるこの力を揚力と呼びます。球体であるゴルフボールが揚力を得るために利用しているのが、クラブで叩かれた時に発生する強力なバックスピンと、ディンプルがもたらす空気の流れの組み合わせです。
ボールが進行方向とは逆の下から上へ向かうバックスピンをかけられながら飛んでいくと、ボールの上側の空気は回転の方向に強く引っ張られて速く流れます。逆に、ボールの下側の空気は回転とぶつかり合うため、流れが遅くなります。ベルヌーイの定理という物理法則により、空気の流れが速い上側は気圧が下がり、流れが遅い下側は気圧が上がります。この気圧の差によって、ボールは下から上へと力強く押し上げられるのです。
この揚力を生み出す現象をマグヌス効果と呼びます。もしボールがツルツルだと、空気をしっかりと掴むことができず、スピンをかけても十分な揚力が生まれません。ディンプルのくぼみが歯車のように空気をしっかりとグリップし、回転のエネルギーを効率よく空気の流れに伝えることで、初めて強力なマグヌス効果が発揮されます。ディンプルは空気の抵抗を減らすためだけでなく、ボールを空高く舞い上がらせるための見えない翼としても機能しているのです。
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