ブラウン管が映像を映し出す仕組みをさらに詳しく見ていくと、走査線という重要なキーワードに行き着きます。電子銃から発射された電子ビームは、画面全体を一度に光らせているわけではありません。まず画面の左上の端から右に向かって一本の横線を引くように高速で移動し、右端まで到達すると少し下の左端に戻って再び右へ線を引きます。
この左から右へと描かれる光の横線のことを走査線と呼びます。当時のアーケードゲームのモニターは、この走査線を上から下へと順番に約260本ほど描くことで、一枚の完全な画面を作り上げていました。そして下まで描き終わると、再び左上の最初の位置に戻って次の画面を描き始めるのです。この一連の動きを1秒間に約60回という猛烈なスピードで繰り返しています。
人間の目は、光が消えた後もほんのわずかな時間だけその光の記憶が網膜に残るという残像現象という特性を持っています。電子ビームが高速で走査線を描き続けるスピードに人間の目の処理能力が追いつかないため、パラパラ漫画のように次々と書き換えられる光の点の集合体が、一つの滑らかに動く映像として脳に錯覚を起こさせているのです。レトロゲームの画面をスマートフォンで撮影すると黒い横縞のノイズが映るのは、この走査線の書き換えの瞬間をカメラが捉えてしまうからなのです。
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