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2026年6月9日
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声帯の振動と共鳴周波数のフォルマント
ヘリウムガスを吸うと声が高くなる理由について、多くの人が勘違いしている科学的な事実があります。それは、喉の奥にある声帯そのものが普段より高速で震えて高い音を出しているわけではないということです。実はヘリウムガスを吸っても、声帯が振動する回数である基本周波数は空気の時と全く変わっていません。変化しているのは、喉から唇までの空間である声道の中で音がどのように響くかという共鳴の仕組みなのです。
人間の口の中や喉の空間は、ギターの胴体やリコーダーの筒と同じように、特定の高さの音だけを強く響かせる共鳴箱の役割を果たしています。この強く響く特定の音の高さを音響学の専門用語でフォルマントと呼びます。先ほどの記事で説明した通り、ヘリウムガスの中では音の伝わるスピードが空気中の約3倍になります。波の速さが3倍になると、この声道という共鳴箱の中で強く響くことができるフォルマントの周波数も、物理法則に従ってそっくりそのまま約3倍に押し上げられてしまうのです。
その結果として、声の土台となる低い音はそのまま維持されているのに、言葉の特長を決める高い音の成分だけが不自然に強調されて相手の耳に届くことになります。これが、アヒルのキャラクターが喋っているような、甲高くてコミカルな声に聞こえるドナルドダック効果の音響学的な真実なのです。声帯の動きはそのままに、楽器としての口の特性だけがすり替わっている状態と言えます。

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