自然界において、自分の体を常に綺麗に保つための仕組みを持っているのはカタツムリだけではありません。泥水の中から美しい花を咲かせるハスの葉も、決して水や泥で汚れることのない強力な防汚機能を持っています。しかし、ハスの葉とカタツムリの殻では、汚れを落とすための物理的なアプローチが全く正反対なのです。ハスの葉の表面には、細かい毛のような構造が密集しており、これが水を強力に弾き返す撥水性という性質を生み出しています。
水滴が葉の上に落ちると、丸い水銀の玉のようにコロコロと転がりながら、表面の汚れを一緒に絡め取って落ちていきます。これをロータス効果と呼びます。これに対してカタツムリの殻は、水を弾くのではなく、逆に水を表面に薄く広げてなじませる親水性を利用しています。この親水性による汚れ防止の仕組みを、ハスの葉のロータス効果に対してスネイル効果と呼ぶことがあります。
この二つの仕組みには、それぞれ得意な汚れの分野があります。撥水性のハスの葉は水性の汚れには強いですが、油汚れが付くと水を弾く構造が壊れて機能しなくなってしまいます。一方、親水性のカタツムリの殻は、表面に水の膜があるため、水と反発する油汚れが付着しても簡単に浮かせて洗い流すことができるという非常に優れた特徴を持っています。自然界が生み出したこの二つの正反対の技術は、どちらも科学的に極めて理にかなった素晴らしい生存戦略なのです。
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